三池炭鉱に行ってきました!見学する前に知っておきたい見どころ&注意点とは?

福岡

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明治時代、日本の近代化を支えた産業の一つが石炭産業です。

中でも日本一の規模を誇るのが、福岡県と熊本県にまたがる「三池(みいけ)炭鉱」。2015年には「明治日本の産業革命遺産」として念願の世界遺産にも登録されました。



実は前々からとても気になっていた場所で、今回初めて訪れることができました⭐︎

そこでこの記事では、実際に私が三池炭鉱を見学してみてわかった見どころや、注意した方が良い点についてお話したいと思います!


三池炭鉱へのアクセス



 

最寄りは鹿児島本線大牟田駅です。
ここからバスやタクシーに乗るか、「大牟田観光プラザ」でレンタサイクルする方法などがあります。

おすすめはレンタカー。道がすいていたこともあり、博多から1時間ほどで到着しました⭐︎各施設には必ずといって良いほど無料の駐車場があります。夏場はとても暑いこと、ナビがついていることなどを考えると、一番便利なんじゃないかと思います!

三池炭鉱見学のモデルコース


続いて、三池炭鉱を見学する際に市が推奨しているモデルコースというものがあるので、そちらをご紹介したいと思います。

<世界遺産丸ごと周遊ルート>


このコースは、時間が少なくてもここだけは押さえておかなくちゃ!というマストな見学スポットを、効率よく回るルートになっています。

あまり時間のない人や、三池炭鉱とは何ぞや?ということをざっくり知りたい方にはこちらがおすすめです。

*この記事ではこちらのコースを見学した様子についてレポートしています。


  • 石炭産業科学館
  • 宮原坑・三池炭鉱専用鉄道敷跡
  • 万田坑
  • 三池港



<欲張り世界遺産・近代産業遺産ルート>


上記に加え、世界遺産以外のものも含めた石炭関連の施設をめぐる完璧なルートです。

時間がたっぷりあるマニアックな方はこちらをどうぞ。


  • 石炭産業科学館
  • 三池港
  • 三河坑跡
  • 旧三井坑倶楽部
  • 宮浦石炭記念公園
  • 宮原坑・三池炭鉱専用鉄道敷跡


三池炭鉱の見どころをチェック!


それでは、実際に「世界遺産丸ごと周遊ルート」の各施設とその見どころをご紹介したいと思います。


石炭産業科学館




どこを見学するにしろ、まず一番はじめに訪れておきたいのがここ「石炭産業科学館」です。三池炭鉱の歩みを貴重な資料から学ぶことができる施設で、三池炭鉱やエネルギーにまつわるあれこれを学べます。


着いたらすぐ、ショートムービーの上映時間をチェックしておくと見逃さずに済みます。ためになるので最低でも一つぐらい見ておくのがオススメ。

また、石炭産業科学館の入場券を万田坑で提示すると、万田坑の入場券が割引になります。



では実際の展示物を見てみましょう。



上の写真は時代とともに進んだ炭鉱技術を紹介する模型で、三時代に渡って紹介されていたと思います。

滑車やポンプが動く造りになっていて、リアリティがありますよ⭐︎

手掘りで石炭を掘り出していた時代からたった60年のあいだに、蒸気機関そして電気を動力とする技術が生まれました。

まさに、日本の産業革命を象徴するような変化だと思います。




それから、ここへ来たら必ず立ち寄りたいのが「ダイナミックトンネル」という模擬坑道です。

ここでは、有明海地下の採炭作業現場の様子をリアルに体験することができます。



石炭を運搬する電気機関車や採炭用カッターなど、おそらく実物大だと思われ圧倒的な迫力。

しかも、実際に動く様子が見られるのが感動モノ!坑道を掘り進めていく様子はリアルそのものです♪

ちなみにもっと雰囲気を味わいたいという人は、ヘルメットを装着して見学することもできますよ⭐︎




石炭がどのようにして人々の生活に関わってきたの?ということが学べる展示。

蒸気機関車をはじめ、ガス灯やストーブなど身近な道具に石炭エネルギーが利用されていたことがわかります。







二階には、元坑夫の方々による作品がたくさん展示されています。

坑内の様子が細かく再現されていて、とても趣味のレベルだとは思えないクオリティのものばかりで見応えがあります。時間のある方はぜひ!




ちなみにこの施設には、「明治日本の産業革命遺産」に関するパンフレット資料がかなりそろっています。

無料とはいえ読み応えのあるものもあるので、このあと見学する予定の施設関連や、気になる遺産に関するパンフレットはとりあえずもらっておいたほうが良いと思います。



三池集治監外壁


コースには含まれていないのですが、宮原坑へ行く途中に立ち寄ったのが「三池集治監外壁」です。

炭鉱業が栄えた当時は労働者不足を補うため、囚人も石炭採掘の仕事に従事していたそうです(昭和6年に廃止)。

その囚人たちを収容していた建物の外壁の一部が今も残っています。



高さ5メートル。外側はかなり剥がれ、レンガが見えてしまっている部分がほとんどです。

囚人たちは、ここから宮原坑までをゾロゾロと歩いてまいにち出役したといいます。


宮原坑・三池炭鉱専用鉄道敷跡



続いてやってきたのは「宮原坑(みやはらこう)」です。

少し離れた駐車場に車を停めて敷地へ入ると、ボランティアさんたち3人ほどが「待ってました!」と言わんばかりにお出迎え。

今日の観光客は少ないよう・・・というか私たちだけみたいです(!)

世界遺産を貸し切り見学できるという思ってもみないサプライズ♪



ところで、この日はまだ6月の半ばだというのに、真夏のようなカンカン照り。

「さぁさぁこの日傘をさして」と差し出され、ボランティアさんによるガイドが始まりました。






こちらは第二竪坑巻上機室(だいにたてこうまきあげきしつ)。

レンガ造りが特徴的です。

中に入ってみます。



当時使われていたと思われる備品類が雑多に置かれています。

ノスタルジックな雰囲気がプンプン。




第二竪坑内には2つの巻上機(ウインチ)があります。

入って手前の巻上機は人や馬を、奥にあるのはモノを運ぶためのものだそうです。



第二竪坑のとなり、タワーのように立っているのが第二竪坑櫓(やぐら)です。

高さ22メートル、上部の滑車からワイヤーを吊るして地下数百メートルの坑道へ物の上げ下ろしをします。







したを見下ろすとこんな感じ。閉山する前は、もっともっと地下深くまで繋がっていたそうです。



團琢磨とデビーポンプ


三池炭鉱を見学するのに是非とも知っておきたい日本人、それが「團琢磨(だんたくま)」さん。

アメリカで鉱山学を学んだ日本のお役人さんで、のちに三池炭鉱が民間へ払い下げとなったあとも、経営者としてその手腕を立派に発揮したお方です。

この方のおそらく一番の功績といえば、日本にイギリス製のデビーポンプを取り入れたこと。

当時、三池炭鉱には地下水が多く、採炭の妨げとなっていました。そこで團さんは、超高額だけど馬力は世界最高レベルのイギリス製デビーポンプを導入し、この問題を克服したといいます。




先ほどの第二竪坑櫓(やぐら)の前に、大きなレンガの壁が見えると思います。



この大きな壁はデビーポンプを設置していた建物の一部なんだとか。

長いレンガだけを並べる段と、短いレンガだけを並べる段、それを交互に積んでいくこの方法をイギリス積みというそうです。


排水管。



しっかりと排水を行うことで、より深い場所まで採掘を行うことができたのだそうです。

深い場所まで採掘できれば、それだけたくさんの石炭を採ることができる。

これが、三池炭鉱が大きく栄えた理由の一つだといわれています。




坑内の地下水を排水した排水路。今は草がボーボーですが、石が組まれてかなり頑丈な造りになっています。

デビーポンプでくみ上げた排水は、市街地を通って諏訪川へと排出されました。



三池炭鉱専用鉄道敷跡


宮原坑の敷地の脇をよく見ると、線路のような跡があるのがわかります。

これが「三池炭鉱専用鉄道敷跡」です。





坑口から採炭した石炭や炭坑資材、化学工場などへの原材料は鉄道を使って運ばれました。

ここ宮原坑の脇を通るのは本線で、最終的には三池港まで繋がります。






短い時間の中ではありましたが、ガイドさんのおかげで何がどう使われていたのかなどよくわかりました。

他にも、写真撮影に気軽に応じてくださったり、本物の炭坑節を披露してくださったり、宮原坑まで車で案内してくださったりと、申し訳ないぐらいのサービスをしていただきました⭐︎

田舎の人って優しいなぁとつくづく思います。



万田坑




続いて万田坑(まんだこう)へやってきました。先ほどの宮原坑と比べると敷地面積も広く、見どころとなる施設も多く現存しています。

ここでは、時間があまりなくなってしまったのでガイドなしで見学することにしました。

はじめの石炭産業科学館でたくさんの資料をもらっていたことや、先に宮原坑を見てきたこともあり、ガイドさんなしでも充分に楽しめましたよ♪

敷地内にはスタッフさんも点在しているので、わからないことがあれば聞いてみても良いと思います!それでは施設内を見ていきましょう。





多くの建物はやはり、宮原坑と同じくイギリス製のレンガ造り。国の重要文化財の指定を受けています。



ここは浴室。家に帰るよりも先に、ここで入浴していたんですね。仕事を終えて地上に戻ってきた坑夫さんたちは、きっと泥だらけだったことでしょう。




第二竪坑口は見どころのひとつです!!

入り口はトンネルのようになっていますね。



入ってすぐに受付みたいな小屋が建っています。

部外者が入っていないかなどチェックしていたのでしょうか。



奥に進むと・・・まさに坑道の入り口が!第二竪坑櫓(やぐら)の真下にいる状態です。

稼働していた当時は、やぐらから吊るしたワイヤーを巻き上げ、人やものの昇降をしていたんだと思います。






二つ目の見どころは「第二竪坑巻上機室」です!1階の受付でヘルメットを借りて中2階、2階へと上がります。


近くで見るとかなり大きな巻上機。ワイヤーも極太でとても頑丈そうです。









完全に時が止まっています。一部立ち入り禁止や触ってはいけないものもありますが、こんなに間近で見られるなんてとっても貴重ではないでしょうか。




3つ目の見どころは「職場(修繕工場)」です。




トロッコのレールの跡といい、田舎の駅のホームみたいです。




ここは機械の修理や工具を作ったりするところ。サビが目立ちますが、ほとんどそのまま残されていることがわかります。







手作業で仕事をするための作業台でしょうか。こちらもほぼ手付かずの状態です。






   



さいごに。

万田坑の門口付近で、何やら一枚のパネルを発見しました。

パネルには今はなき煙突や第一竪坑櫓(やぐら)、汽罐場などの写真がプリントされています。それを現存の建物に合わせると・・・。




見事に当時の施設がフルに再現できる!という優れものでした。



三池港




最後に訪れたのは三池港です。

干潮時と満潮時の差が激しい有明海では大型船をつけることができず、長崎や熊本の三角西港までいちいち小型船で運ぶ必要がありました。

それでは効率が悪いので、干潮時でも大型船を接岸できるよう巨額の費用を投じて作られたのがこの三池港なのです(干潮でも8.5Mの水位を保つ)。

宮原坑などの抗口とも鉄道で繋がっていたため、効率よく石炭を運ぶことができるようになったんですね。ここから上海やシンガポールなど海外へ石炭が運ばれていったそうです。

と、写真を撮影していたら、偶然にも開門する様子に出くわすことができました!



三池炭鉱が閉山した今も、国際流通の拠点として利用が続けられているそうです。

これで、三池炭鉱の見学は終了です⭐︎



三池炭鉱を見学する際の注意点は?


実際に三池港を見学してみて、ここに注意しておいたほうがいいなあと思うことがいくつかあったのでご紹介します。


食事処やお土産が少ない


三池炭鉱へ行ったついでにお昼ご飯でも・・・なんて思って行かれる方もいるかもしれませんが、周辺はチェーンのファミレス系が少しあるぐらいのもの。私たちは車だったので、途中の久留米でラーメンを食べました。

また、お土産がほとんど売られていないのもちょっと残念ポイントです。万田坑のすぐ近くに万田坑ステーションという施設があり、そこにやっと地元の特産品が少し並んでいるぐらいです。


6月半ば、すでに暑い


私たちが三池炭鉱を訪れたのは6月中ばだったのですが、すでにものすごい日差しに襲われました。

このあたりは夏の暑さで有名な地域で、真夏には40度近い日が続くといいます。

暑さ対策はしっかりとしておくとよいでしょう。



まとめ


以上、三池炭鉱を見学した様子をご紹介しました⭐︎正直、平日とはいえ観光客があまりにも少ないのでちょっと寂しい感じではありました。逆にいうと貸切状態でのびのびと見学できるほか、人が写り込まない写真を撮りやすいのは良い点です。


日本を支えた炭鉱業。日本最大級の三池炭鉱で、その歴史をこの目で確かめることができて大変満足です。

大人の社会見学にもぜひおすすめですよ♪


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