淡水一美しい景色が見られる場所はどこかと聞かれたら、おそらく多くの地元の人たちが「淡水紅楼」だと答えることでしょう。
100年以上も前に建てられた赤レンガの洋館は、貿易や海運業などで栄えた当時の淡水の中でも、とくに富豪を象徴するものだったといいます。ここに立つと、台湾の富士と呼ばれた観音山をはじめ、西から東まで広く見渡せることから、「達観楼」という別名もあったそうです。
こんなお城のような美しい洋館を建てたのは、商業の街・淡水で一代の富を築いた、李貽和氏という人物でした。その後は財政状況の悪化から、最後の所有者となる当時の淡水街長・洪以南氏に売り渡されます。しかし洪氏が亡くなって以降およそ70年ものあいだ放置され、建物は荒廃しきっていました。1999年、ようやく修復がはじまり、かつての華やかで美しい姿を取り戻したのです。
1階と2階に中華料理のレストラン、3階にはカフェをオープン。今日の台湾における古跡活用の模範的存在となっています。
たどり着くまでが一苦労?!
紅楼までたどり着くにはいくつかのルートがあります。淡水老街メイン通り(中正路)にある福佑宮というお寺の脇から上るルート、そこからさらに直進して三民街を右折し、木下静涯紀念公園のほうから上るルート、その先にももうひとつ、紅楼の看板が掲げられた階段(写真左)があります(記事最下部の地図中に★マークで示した地点)。
いずれにしても長い階段を歩かなければならないので、子どもや高齢者、体力にあまり自信のない方は注意が必要です。
中華レストランでちょっと贅沢なディナーを
前菜に始まり、各種肉料理、魚、スープ、ご飯ものや鍋類などメニューの種類はかなり豊富。さぞかしお高いのだろうと思いきや、1皿200数十元からと、数人で食べることを考えれば案外リーズナブルです。とはいっても、周辺の老街で売られている激安小吃グルメに比べると、料理の質も雰囲気も格段に上であることは間違いありません。アルコール類は、台湾ビールはもちろん、紹興酒や金門産の高梁酒などもいただけます。
大人のナイトスポットとしても楽しめる
洋館の目の前の広場は、夜のあいだショットバーが営業されています。淡水の対岸、八里の夜景を眺めながら静かに大人の時間を過ごすことができるのです。
ちなみに、ここは政府指定の古跡にこそなっていないものの、その歴史的価値ある造りから、連日多くの観光客が訪れています。飲食をせず見学するだけであっても敷地内に入ってかまいません。(ただし営業中の場合は多少の配慮が必要かと思います)
またあるときには、ビール飲み放題パーティーの告知ポスターが貼られていました。定期的にこうしたイベントを開催しているようです。
夜になりライトアップされた紅楼もまた一見の価値あり。 |
日中は街や美しい自然を見下ろし、夕暮れは日の入りを静かにみつめ、暗くなれば遠くに輝く夜景を眺める。いつ訪れても、最高のロケーションでちょっとリッチな気分を味あわせてくれる、そんな淡水紅楼が私の大のお気に入りスポットなのです。
【淡水紅楼】
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