赤と白のコントラストが目を引く大きな建物。国のトップが公務を行う官邸、総統府です。1998年から一般公開が行われており、私もこのたび初めて見学してきました。
中を見学するなら全館開放日がおすすめ
1919年、日本統治時代に「台湾総督府」として建設されたこの建物は、バロック式の5階建て。上空から見ると、日本の「日」の字に見えるよう設計されています。
一般見学者の入館は正面からではなく、向かって右側の専用口から入ります。その際、パスポートが必要になりますので必ず用意しておいてください。手荷物検査を行い、ライターを所持していれば一旦預け、いざ入館です。
平日の見学は午前中のみ、月に1度全館開放日があり、そのときに限り撮影が許可されているようです。この日はすぐ近くの台北賓館が開放日であったため、あわせて総統府も全館開放となっていました。年内の開放日は残り10月12日、11月2日、12月7日(すべて土曜日)のみです。
敷地内のあちらこちらに衛兵の姿が。その鋭い視線に、緊張感が走ります。
ちなみに、館内で使われている木材は全て台湾ヒノキだそうです。丸い柱や吹き抜けの回廊など、内装インテリアにもご注目ください。
入館すると、スーツを着た職員さんたちが警備も兼ねて誘導してくださいました。と、そこに見たことのあるお方が!台湾の現総統、馬さんではないですか。一瞬驚きましたが、よく見ると等身大パネルでした。見学者たちは、一様にここで記念撮影。私も、ミーハーっぽく隣でピースサインをしながら写真を撮りました。
次に、赤じゅうたんが敷かれた階段をあがります。中央には、2008年に再び設置された国父(孫文)の銅像が。一般人がこんなところを歩いて良いのかとためらうほど高級な雰囲気です。
2階には、ゲストルームや宴会場など、だだっ広い部屋がいくつかあります(写真は大広間)。これらはふだん公務に使われる場所なので、全館公開日以外に見学することはできません。けっこう、貴重です。
「総統府へようこそ」という看板を横目に見ながら、次は中庭のほうへと進みます。
中庭は「南苑」と「北苑」に分かれています。これがつまり、上から見ると日本の「日」という字に見えるわけなのです。きれいに整備された庭は風通しがよく、職員さんたちの憩いの場となっています。
歴史をちょっとお勉強
総統府の中には、見学者に台湾の歴史をより深く知ってもらうための資料が数多く展示されています。上の写真は歴代総統の軌跡をつづった資料室です。台湾好きだけど歴史はよく知らない…という方は、少しぐらい(かじる程度でも!)頭の中に入れておいて損はないと思います。
ちなみに、かの有名な蒋介石の名前は「中正」だというのをご存知でしょうか?じつは“介石”というのは、あざ名(呼称のようなもの)なのです。台湾の道路でよく目にする「中正路」というのはここから付けられています。
今年は残りあと3回となった全館開放日ですが、すぐ近くの台北賓館の開放日とも重なっています。いずれも日本人が建てたヨーロッパ風の美しい建築物であるうえ、ちょっとした歴史のお勉強なんかもできるので、興味のある方は日程調整をして足を運んでみてください。
100年の歴史を誇る西洋×和風の迎賓館「台北(たいほく)賓館」
【総統府】
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(総統府はB地点)