かつて港町として栄えた淡水老街では、今でも西洋風の食を扱う店が少なくありません。その中でも、食みやげとして国外問わず人気を集めているのが、淡水老街のメイン通り(中正路)に位置する「三協成糕餅」です。
人気の秘密は70年以上変わらない味と製法
まずは1階のスイーツ売り場から。見た目は台湾の伝統的なお菓子に良く似ています。ただ普通のお菓子と違うのは、創業当時、この近くにイギリス領事官邸が置かれていたことが大きなポイントです。
創始者の李水清さんは、領事官邸のシェフからフルーツパイ作りの秘訣を教わり、またその後、台湾にはまだなかった、バターやミルクの香料をはじめて知ることになります。試行錯誤を繰り返し、みごと三協成オリジナルのスイーツが完成しました。創業から70年以上がたった今でも品質にはこだわりを持ち続け、その味や製法は変えていません。
(ちなみに「三協成」という名前は、創業メンバーである李3兄弟が、「心をひとつに経営を成し遂げたい」という思いで付けたそうです。)
購入する前に、いろいろ試食をしてみてください。たとえば看板メニューの糕餅(カオピン)でいうと、ベースになっている生地には西洋風のまろやかな風味があり、外側の皮がサクッとしているのが特徴です。中の味は、パイナップルや緑豆、芋など、ご当地食材が多く使われています。(個人的に、そのへんのパイナップルケーキより種類も豊富で、はるかに美味しいと感じています…)
この日はご丁寧にお茶までごちそうしていただき、すっかりアフタヌーンティーを満喫してしまいました。
台湾人のひとたちは柔らかい触感のものが好き、というイメージがあったのですが、わりと硬めな食感のドイツクッキーや、ポン菓子なんかも人気のようでした。箱菓子だけでなく、単品で気に入ったものだけ購入することもできるので便利です。
淡水の歴史と文化の博物館でもある
三協成のこだわりはこれだけではありません。創業者の息子さんで現オーナーの李志仁さんは、単にスイーツを販売するだけではなく、「三協成糕餅博物館」を創設した人でもあります。
博物館を建てることになったそもそもの発端は、スイーツ作りに欠かせない“型”。これは生地を形成するための道具で、一度使ったらよく洗い、繰り返し使用する大切な道具です。
しだいに、店先で乾かしているこの珍しい“型”を見て、由来やストーリーを尋ねてくるような人が増えはじめました。そこで志仁さんは、これらの道具と紹介資料を並べた博物館を手がけようと思い立ったのです。1階ではさきほどのスイーツ販売を、地下1階が展示物のコーナーになっています。
また館内には、街の歴史にかんする資料も展示されています。語学堪能な志仁さんは、近隣にある観光スポットを紹介する無料のチラシも、中文・英文・日文の3つを用意。この博物館じたいが、地元淡水への愛に満ちた空間になっていることがよくわかります。
というわけで、会社や親戚など、少々キチンとしたお土産を渡したい場合にはこちらのスイーツがおすすめ。たくさん試食して、ついでに展示物も見て廻れば、お土産さがしがもっと楽しくなりそうです。
【三協成糕餅】
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