渓谷への入り口。記念撮影をする際は車に気をつけて。 |
台湾東部の自然遺産といえばここ、台湾八景のひとつにも選ばれている「太魯閣(タロコ)国家公園」です。公園とはいっても、その面積はおよそ9万2000ヘクタールと広大。なかでも一番のみどころ、大理石の壁が侵食されてできた「太魯閣(タロコ)渓谷」を目指し、私たちは車を走らせました。
ビジターセンター館内の所々に大理石が使われている。 |
まずはビジターセンターへ。ここでは太魯閣の自然環境や生態など、さまざまな展示物を見学することができます。渓谷へ進む前にこちらで予備知識をつけておくと、よりいっそう感慨深く見ることができるはずです。
多くの人を魅了するタロコ渓谷ですが、実はいくつか問題点もあります。ひとつは、屋台の出店による環境汚染です。公園内では、無許可での販売行為は認められていません。
また、この地域では「玫瑰石(薔薇の石)」という、薄ピンクの綺麗な石がとれることで有名なのですが、現在、許可なくこれらを採掘することは禁じられています。ふたつめの問題は、これを無断で採掘する人がいるということです。(近年は採掘量じたいが減少していて違法採掘者も減っているとのこと)
敷地内には、かつてこのエリアに集落を作っていた原住民、太魯閣族の像が建てられています。太魯閣国家公園の名も太魯閣族からきているそうです。
ビジターセンターを出て再び車を走らせていると、途中、川の中に大きな岩がゴロゴロと。
遊歩道が見えてきたので、車を止めて歩いて見学してみます。ごくまれに落石があると聞き、無料で貸し出しされているヘルメットを装着。それにしても、中国からの団体旅行客の数が半端じゃありません。狭い道に観光バスが次々とやってくるので注意が必要です。
侵食された大理石の壁は、まさに世界遺産級のダイナミックさ。ところどころにつり橋がかけられていますが、渡るには事前申請が必要です。
削られた岩壁には、大理石特有の横じま模様が。心なしか、太魯閣族の衣装によく使われるシマシマ柄に似ているような気もします。
この日は午前中に雨が降っていたため、流れる水はすっかり濁っていましたが、普段はもう少し綺麗な川が見られるそうです。
岩壁をよく見ると、小さな穴がいくつも開いていることがわかります。暖かい季節になると、この穴に燕がやってきて巣をつくっていたことから、このあたり一帯は「燕子口」と呼ばれているのです。
人の顔や動物のようにも見える、さまざまな形をした大理石の壁。このような岩の形状の変化は、川の水に流された石がぶつかったことが原因だそうで、人工的に穴をあけたり削ったりした箇所はないということです。
長い一本道をひたすら走り抜け、「天祥」というエリアにやってきました。さきほどまでとは風景が少し変わり、ながーい橋を渡ったさきには仏教系のお寺、「祥徳寺」、近くにはホテルや飲食スペースなどが設置されています。
ここが渓谷の最終地点です。
橋の上から下を見ると、小石で作った思いおもいのフレーズが。 |
大自然が織り成すスケールの大きさに私も終始圧倒されっぱなしで、正直どういった言葉で形容したら良いのかわかりません。とにかく、写真で眺めるより実際に足を運んでみることが一番です。
太魯閣国家公園へ行くには、台北発の日本語ガイド付き日帰りツアーに参加するほか、花蓮で車をレンタル、時間制のタクシーを予約する、花蓮駅発着の公共バスを利用する、ホテルが用意しているツアーに申し込むなどの方法があります(花蓮までは鉄道か飛行機で)。旅のスケジュールにあわせて利用してみてください。