天候に恵まれればもっとはっきり見られたはず… |
この日訪れたのは、世界でも珍しい地形と鮮やかなブルーの海が印象的な「清水断崖」です。
約22km(和平~崇徳)にわたる海岸沿いは、およそ1000mにもおよぶ岩壁がつづきます。この、海に対してほぼ垂直にそびえたつ巨大な岩壁は、大理石・片麻岩(へんまがん)・緑色片麻岩からなる断層構造です。
どうしてこのような地形が作られたのか。それは今から1億5千年前に起きた地殻変動によるものだといわれています。その後、太平洋の荒波によって少しずつ侵食され、また地震や台風などで壁の一部が崩落。そういった影響から、海底には大理石のかけらが数多く堆積しているのだそうです。
名前の由来
この「清水断崖」という名前の由来についても少し調べてみました。たしかな情報は得られなかったのですが、どうやら宜蘭と花蓮を結ぶ蘇花公路の建設中に亡くなられた、日本人作業員の「清水さん」という方の名前から付けられたようです。もともとこのあたりには大清水・小清水といった名前の地域がありますが、それと清水さんとは無関係とのこと。珍しい偶然の一致です。
石でできたエコで頑丈なガードレール |
ガードレールにも要注目
そんな蘇花公路が開通したのは1932年のこと。ながーく連なるガードレールは、この道路を作るときに出た石をそのまま使用しているのだそうです。団体客がこの上で一列に並んで記念撮影をしているのを見てヒヤヒヤ。滑って転ぶと、それがどちらの方向であっても危ないので要注意です。ただこれほど頑丈であれば、車やバイクの運転中に万が一のことが起こっても、打ち破って転落してしまうことはないでしょう。
雲で覆われた中央山脈。山々が幾重にもかさなる様子がうっすらと見られる。 |
中央山脈に囲まれて
海と反対の方向を見上げると、モクモクと白い雲が中央山脈を覆っているのがわかります。ここから見られる大きな山は千里眼山・右岸山・清水大山の3つ。中でも清水大山は、標高約2400メートルの高さを誇り、とくに夏場、太平洋からの水蒸気の関係で写真のような雲や霧が発生するのだそうです。北廻鉄道
下を見ると、南北をつなぐ北廻鉄道が通っているのがわかります。こちらの建設が始まったのも日本統治時代です。一度は中断されたものの、1973年に再開、その8年後にようやく前線が開通されることとなりました。時おり通過していく電車はまるでおもちゃのような小ささです。アクセス
ここへ来るのにバスが利用できないのは少々不便な点です。電車の場合は崇徳駅、もしくは和仁駅で下車し、そこから徒歩かタクシーで。花蓮駅から崇徳駅までならバスの運行もおこなわれています。私が今回撮影した場所には景観台や周辺地図などがあり、ゆっくり見るのに最適です。可能であれば、お天気の良い日を選んで行かれることをおすすめします。
【清水断崖】
台湾交通部観光局サイト
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