山あり河あり、美しい自然の景観に恵まれ、まいとし国内外から多くの観光客が訪れる、新北市・淡水。この街のシンボル的存在といえば、紅毛城を中心とした歴史的な建築群です。現存する建物の中では最も古く国の1級文化財に指定されており、さらには世界遺産登録の候補地としても有力視されています。
今日はそんな淡水の歴史的建築群のひとつ「紅毛城古跡区(城郭中心部・イギリス領事官邸・南門)」をこの記事でご紹介したいと思います。
7カ国の手に渡った紅毛城の歴史
ここを占有していた歴代の国の国旗が掲げられている。 |
彼らが台湾を追われる直前に自ら破壊した紅毛城は、その後大規模な修復作業が行われ、こんどはイギリスに長期間貸し出されることとなりました。外壁が赤く塗り替えられたのもイギリス人によるものです。
さらに第二次世界大戦後もアメリカやオーストラリアによる管理が行われていたのですが、交渉の末、1980年にようやく台湾が所有することとなりました。一般公開が始まったのはその3年後からです。
*紅毛城(古跡区)とは城郭中心部だけではなく、この敷地全体を指します。
*入り口のサービスセンターで日本語のパンフレットがもらえます。
これは城郭中心部(紅毛城)に入り奥の部屋へ進むと、この城の模型図が置かれています。イギリス時代、1階は監獄に、2階は事務所として利用されていました。
監獄の中は薄暗く、小さな窓がひとつあるだけです。全部で4部屋あり、それぞれイギリス人の像が立っています。
オランダ船を模した“ウィリアム王子号” |
現在、事務所として使用されていた2階は歴史資料の展示室になっています。大航海時代と淡水との関係について日本語訳付きで詳しく解説されています。
城郭中心部とイギリス領事官邸の間にある広場では、17~19世紀に持ち込まれた大砲が生々しく展示されていました。大砲の向く先は淡水河です。
つづいて写真の奥に見えている領事官邸を見学します。
当時の豪華な生活ぶりが再現されたイギリス領事官邸
1891年、イギリス人によって建てられたコロニアル建築様式の領事官邸には、水はけが良く断熱効果があるなど工夫した設計が施されています。レンガや屋根瓦などにはほぼ地元産のものが使われているのだそうです。柱の彫刻や、土台部分にはめ込まれた中国の古銭模様など、細かい部分にも注目してみてください。
官邸内はビクトリア調の家具で揃えられており、当時の優雅な暮らしがうかがえます。さきほど監獄や大砲を見たばかりだったので、この対照的な空間がとても印象的でした。
この門は対岸の観音山から持ってきた石材を使用して作られています。今も残る中国式建築物としては大変貴重なものなのだとか。ここで記念撮影をして、紅毛城古跡区の見学は終了です。
数百年にわたって世の移り変わりを見続け、淡水の歴史を象徴する古跡となった紅毛城。この地へ来たら絶対に見ておきたい観光スポットのひとつです。
【紅毛城古跡区】
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