台湾の世界遺産候補地「金瓜石・黄金博物園区」を歩く【四連棟編】

金瓜石・九份・平渓・北海岸 世界遺産候補地

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バスを降り、金瓜石の敷地内に入ってほどなくすると、右手に見えてくるのが「四連棟」です。黄金の採掘で賑わっていた1930年ごろに建築され、日本人労働者とその家族が滞在するための宿舎となっていました。

当時の生活を知ることができる貴重な建築物として保存されていたこの日本式家屋は、2007年から一般客に公開されています。


四連棟

台湾には数多くの日本式家屋が今も残されています。中でもこの建物は、雨の多いこの地域に合わせ、壁を横板張りにして、お互い少しずつ重なり合うように取り付けた「下見坂構造」を用いていることが特徴です。


家屋の中から外を見た様子。


ガイドの案内のもと、金瓜石の紹介ビデオが放映される。


防空洞とは防空壕のこと。



日本統治時代の生活にタイムスリップ


「四連棟」という名のとおり、4世帯が住めるような造りになっています。こういった様式は非常に珍しいのだそうです。一般客が足を踏みれられる廊下の横幅はかなり狭いものの、敷地自体は広めです。

また、一般向けに公開されているこうした日本式家屋の多くは、中には入れても、物がなく殺風景だったりします。一方こちらでは、家具や雑貨小物など当時の生活をそのまま再現していて、まるで当時へタイムスリップしたかのような雰囲気を感じられることが最大のポイントなんです。













中国式生活スタイルも



ガイドさんに連れられて進んでいくと、鮮やかな朱色が目を引く寝室を発見しました。日本統治時代の建物なのに、なぜなのでしょう。

ガイドさんに伺ったところ、終戦後、日本が去ったあとにやって来た中国人(国民党政府)たちは、床に座って食事や睡眠を取る様式に不慣れだったため、それらを全て中国式に変えました。

そして今、日本統治時代とははっきりと違う生活スタイルを知ってもらうべく、あえて同じ建物の中に日本式と中国式両方を再現しているのだそうです




床で寝る習慣がないため、ベッドに変えた寝室。





四連棟


四連棟を見学するにあたって、1つだけ注意事項があります。それは、入れる時間が決まっているということです。平日は10:00、11:00、13:00、14:00、15:00の5回、休日は6回目の16:00がラストです。

あらかじめ電話予約した人が優先される上、時間前になると見学したい人たちで列を成していることもあります。中国語で予約なんてできない!という方は、念のため平日に予定を組むほうが良いでしょう。入場料は無料です。


また、見学の際には現地のガイドさんが中国語で案内してくださいます。たとえ言葉がわからなくても、目で見るだけできっと何かを感じられることでしょう。建築デザイン、台湾の歴史、生活スタイル、何に興味があろうとも、この地に来たならばとにかく一度、見学してみることをお勧めします。


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